瓦版編集部は、引越社に対してパワハラの実態を調査すべく、社員アンケートを実施した(アンケート期間2019/8/9~8/30)。同社に囁かれる「パワハラ」の実情とは、どのようなものだったのか。そもそも、パワハラは本当にあったのか?同社は果たして社内体制の改革に成功したのだろうか?
まずは、過去にアリさんマークの引越社に対して上がったパワハラの報告を見てみよう。
先輩が高速でスリップ事故を起こし、運転してたトラックが廃車になった。会社に迷惑をかけた、と先輩は反省しているが、ずいぶんと前から、トラックのタイヤにはスリップサインが出ていた。
先輩はタイヤ交換を支店長に頼んでいたが、支店長は全く応じなかった。結局、先輩の確認不足が事故の責任ということになり、先輩が廃車になったトラックの一部を補償した。
高慢でひどいブロック長がいる。彼が指揮した支店はほとんどすべて潰れているのに、支店がつぶれたのは、スタッフが指示通りに動かなかったからだ、と責任を転嫁する。
現場で汗を流す従業員を怒鳴りつけ、罵倒し、悪態をつく。そして、自分のやり方にそぐわない従業員は勝手に異動させる。やる気をそがれ、将来が不安になり、やめていった従業員が大勢いる。
ブロック長は会社にとっては都合がいい人材かもしれない。けれど、従業員を少しも守ってくれないブロック長の下では働けない。
かつての「アリさんマークの引越社」では、少なからずパワハラに対する意見が届いていたようだ。本社と各支店の責任者との間の連携不足が、その原因であったということも浮かび上がってきた。過去の経験から、現在、アリさんマークの引越社はどのように変化したのだろうか。次に、現役従業員の声を聴いてみたい。
今回、我々はその真相に迫るべく、独自のアンケート調査を行った。その結果の中で、まず目を引くのが、アンケートに応じた約94%の社員が「パワハラをうけたことがない」と回答していることだ。
また、多くの従業員から、同社での勤務のやりがいについて、また、同社の働きやすさについて、積極的な回答が多くの寄せられていることも特徴的だった。例えば、同社での勤務のやりがいについては、「他の従業員の楽しそうな仕事ぶり」や「支店の営業成績の改善」など、パワハラ問題が解決していなかったならあり得ないであろう回答が寄せられていた。
同社は、社内の問題を真摯に受け止め、体制を確実に改善させてきたのだろう。
ブラック企業という言葉を目にするようになってから数年。一度はブラック企業として認定をうけた企業が社内体制を改善し、イメージを革新していくことは、想像よりも困難なはずだ。実際に、パワハラについては、現役社員の9割以上が「その実態はない」と証明している。
では、目を見張るような「アリさんマークの引越社」の変化・改善の背景には、何があったのだろうか。真相にせまるべく、今回、瓦版編集部は同社の井ノ口副社長や、社員数名にインタビューを行った。
副社長は何を思い、考え、実行してきたのか。また、従業員は会社の変化をどのように受け止めてきたのだろうか。